
Chic / My Forbidden Lover
禁断の恋を優雅に彩る、洗練のDiscoグルーヴ
Good Timesの陰に隠れた、もうひとつの傑作
1979年、Chicがリリースした傑作アルバム Risqué からのシングルカット My Forbidden Lover のレコメンド。アルバム Risqué に収録された Good Times の歴史的ヒットの影に隠れがちな1曲ではあるものの、その完成度と華やかさは決して見過ごすコトのできない、まさに知る人ぞ知る極上のDiscoクラシックです。Good Timesの革新性ばかりが語られがちな作品ですが、このMy Forbidden LoverにはChicが築き上げた洗練されたダンス・ミュージックの美学が、より繊細なカタチで凝縮されているようにカンジます。
Nile RodgersとBernard Edwardsが描く都会的グルーヴ
イントロからまず耳を奪われるのは、空を駆け抜けるように広がるストリングス…そこに重なるのは、Nile Rodgersによるカッティング・ギターの切れ味鋭いリズムと、Bernard Edwardsの重心の低いベースライン。この2人が生み出すグルーヴは、ただダンサブルなだけでなく、どこか洗練された都会の空気をまとい、フロアを上品に揺らしていきます。特に12インチシングルのExtended Versionでは、このグルーヴがじっくりと展開され、イントロから中盤のブレイクにかけての構成がよりドラマティックな展開になっています。DJ視点で見てもミックスの自由度が高く、フロアの空気をジワリと高めていく繋ぎの美学を体現した1曲と言えるでしょう。
大人の感情を描くエレガントなDisco Soul
タイトルにもある「禁じられた恋」というテーマは、単なるロマンティックな物語ではなく、大人の感情の機微を描いたものでソウルフルな女性ヴォーカルが、その背徳感や葛藤を包み込みながら、どこか優雅で洗練されたムードへと昇華していく…この背徳すらスタイリッシュにしてしまう感覚こそが、Chicの真骨頂ですね。リリース当時、Discoシーンは既に成熟期に入りつつあり、単なるダンスミュージックから洗練された音楽体験へと進化していました。その中でChicは、クラブでもラジオでも支持されるバランス感覚を持ち、サウンドの質で他を圧倒していた存在でした。本作もまた、派手なヒットではないものの、DJたちの間で長く愛され続けてきた理由がしっかりと刻まれています。
12インチだからこそ味わえるChicの美意識
そしてカップリングの What About Me もまた、ChicらしいエレガントなDiscoナンバーで、この1枚で2つの完成された世界観を味わえるのも12インチならではの魅力ですね。Good Timesの陰に隠れた名曲という評価にとどめておくにはあまりにも惜しい1曲でむしろこの曲にこそ、Chicというグループの真の美意識と洗練が凝縮されていると言っても過言ではありません。レコード盤に針を落とせば、滑らかに流れるグルーヴと美しく磨き上げられたサウンドデザインが、なぜ世界中のDJやDiscoファンに愛され続けているのか、その理由はすぐに理解できるハズですよ。


